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18.6.11

第4回研究会

日時:2011年3月5日(土)14時~15時15分
場所:藤女子大学北16条キャンパス

発表1:佐藤亜美(小樽商科大学大学院院生)

題目:Teacher identity shift and building rapport with students in classroom interaction 

要旨:本研究では、教師の発話がどのように教師―生徒間の関係の構築おいて影響を与えているのかを調査した。調査データとして、日本の公立高校2校における1年生の授業風景をビデオ撮影した。A高校では英語の授業を、B高校では英語と古典の授業を、20104月から7月の期間、月1回ずつ継続して撮影した。データは文字化したのち、Zimmerman(1998)3層構造のアイデンティティ概念を用いて教師の発話の変化に注目し分析した。分析の結果、教師のアイデンティがsituated identityからtransportable identityに切り替わる場面(“教師”から“個人”へ)では、教師の発話にある特徴が見られた。この教師の発話の変化が、教師―生徒間の関係の構築に影響していると考える。




発表2:佐野愛子(札幌藻岩高等学校教諭)

題目:Building a Bridge:トロント補習校における日英バイリンガル作文調査


要旨:多くの先行研究によりバイリンガル児童の読み書き能力は相互に依存することが指摘されている。本研究では転移を意識した授業の構築をめざし日本語での作文授業が英語の作文にどの程度反映するか検証した。分析したのは産出量・語彙の複雑さ・文法的な複雑さ・正確さ・全体評価の五観点である。指導前の作文の分析では産出量と主題提示の明確さで強い相関が見られ、指導後の作文の分析では語彙の複雑さ・主題提示の明確さ・比喩表現の使用で統計的に有意な相関が、正確さでは強い負の相関が見られた。個々の作文の質的分析では,産出量・主題提示の明確さ・全体の構成・描写・会話文の使用の項目で英語の運用能力の限界が転移を妨げることが示唆された。
(本研究はトロント大学大学院オンタリオ教育研究所のM.A. 学位取得論文として発表したものであり、その概要はすでにDeans Graduate Students Research Conference (2010, 3 26) で発表済みである。また、バイリンガル作文力の測定について母語・継承語・バイリンガル教育研究会ワークショップ(2010, 8,5)でも一部報告済みである。)